コンテンツ
ログイン
ユーザー名:

パスワード:


パスワード紛失

新規登録
トップ  >  えさん漁業協同組合

えさん漁業協同組合

『恵山魚田』と呼ばれる恵山の海は、親潮と黒潮の寒暖両流が交差し、多くの魚介類を育んでいる。代表的な魚介類として、『真ダラ・真イカ・ブリ・ホッケ・ゴッコ・うに・まぐろ』があり、その源となる海藻も豊富に海の底に根を張っている。 「えさん」は、アイヌ語の「イエサン」(火を吹き溶岩が流れ落ちる)が転訛したもの。恵山は標高618メートルという低山にも拘わらず、本州では2,000m級の高山でしか見られない60余種の高山植物が群生している。

「遠くから、がごめ昆布の勉強をしに来るんだよ」そう話してくれたのは、専務理事の二木さん。話によると、がごめ昆布が健康素材としてブームになるかなり前から注目し、足を運んでいた人達がいたらしい。雑海藻として扱われ、地元でもほとんど食べられていなかった頃から、ダイヤモンドの原石であることに気付いていた人達がいたのだ。今でこそ、函館のお土産の定番として仲間入りをし、成分や機能性の研究も徐々に進んできているが、有用資源としての歴史はマコンブと比べてはるかに浅い。それだけに、がごめ昆布の商品化には、まだまだ悪戦苦闘を強いられそうだ。最近は、食品以外への活用検討も行われつつあるという。 未知なる可能性に挑戦する人達によって原石が磨かれ、輝くダイヤモンドとなる日も近いかも知れない。


「昆布は乾物だと思っている方が多いけど、若々昆布って知っているかい?」そう語るのは、えさんで漁師をしている増輪さんだ。がごめ昆布は、2月にほんの数cmで、3月に30cm位になり、完全に大きくなるのは8月だ。その若い昆布も、実際は2年目で、1年目の昆布ではないのだという。春から夏にかけての生長速度は驚くべきものがあるが、その生命力は、小さいままで1年間海のエネルギーを貯めているからだ。 エネルギーを貯めるがごめ昆布の独特のライフサイクルが、栽培を難しくしている原因の一つでもある。収穫できるサイズになるのに2年間もかかるがごめ昆布を養殖するにはリスクが大きいという。3年前の低気圧の接近時には、海の海藻がほとんど持っていかれたという。自然を相手にしていれば予測がつかない。そのような環境の中で2年間を過ごすことは相当なリスクである。「1年物で収穫できるようになれば」と漁業者はいう。

昆布漁の日は、朝4:30に漁組からの号令が町内にアナウンスされる。すぐに準備を開始して6:00には海に出る。昆布の収穫は概ね6:00〜8:00の間で行い、それから乾燥に入る。1日で乾燥まで行わなければならないため、一家総出での作業となる。天候にもよるが、14:00くらいまで天日で干し、不十分な場合には乾燥機を使用する。それから選別作業を行うので、寝る暇も無い位だ。 昆布漁のピークは7月〜9月に掛けての夏の期間であるが、特に8月が忙しい。昆布漁自体は厳しく、その割に安定した収入が得られにくいということから、後継者問題も少なからずあるという。 「その打開策として、安定的に収入が得られるがごめ昆布の栽培が必要なのだ」。北海道大学とともに栽培研究を始めて6年程になる。現在、道南では真昆布の栽培は確立しており、安定的な収穫量を確保することが出来ている。

「昆布の栽培は一朝一夕で出来るものではない。確立されている真昆布の栽培方法についても、並々ならぬ努力と時間の賜物だ。」と増輪さんは語る。 すぐにということは考えていない。同じ昆布といっても真昆布とがごめ昆布ではまったく違うといっていい。これからも、栽培技術の研究をしていかなければと話す。 「函館地域特有の資源であることを誇りに思うし、大事に育てていきたいと考えている」 がごめ昆布は道南の函館地域が主要な生産地である。その生息区域の狭さからも非常に繊細な昆布であることがわかる。だから栽培も難しい。もっと広く知ってもらいたいと願う気持ちはあるが、生産量を増やすことも考えていかなければならない。 「若々昆布っていうのは、ちょうどこの時期(春先)に獲れる昆布なんだけど、乾物にはしないでそのまま刺身にして食べるんだ。柔らかくて口当たりが良くて本当においしいよ」と話す増輪さんの顔は、がごめ昆布の素晴らしさを知ってもらいたい思いが溢れているように見えた。

前
戸井漁業協同組合
カテゴリートップ
道南の漁業協同組合
次
南かやべ漁業協同組合