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南かやべ漁業協同組合

昆布の名産地である北海道「道南」。函館市から東に40km程のところに南かやべはある。噴火湾と呼ばれる特有の海域に面し、背後には雄大な北海道の大地そのものを彷彿させる程の豊かな森林が広がる。

「今、こんぶ博士が来るから待ってて」そう言われて、しばらくして現れたのが事業部長兼臼尻支所長の長谷川さんだ。長谷川さんは、約20年間昆布と向き合ってきた昆布のスペシャリストだ。 「“がも”は、高水温に弱いからね」“がも”とは、がごめ昆布のこと。かつて海水が高水温となり、天然のがごめ昆布が大打撃を受けた時のことを話してくれた。

今、南かやべ地域では、多くの漁師さんが天然物のがごめ昆布と同時に、栽培物の研究にも取り組んでいる。2年栽培物を中心に育てているが、水深、温度、他の海洋生物との関わりなど、検討課題がいっぱいで試行錯誤中だ。「おいしい昆布を!」そんな想いから、昆布の種類、生育方法などによって、収穫後の加工方法も変えている。 長谷川さんに、おすすめの食べ方を聞いてみた。 「温かいご飯に、がごめ昆布のとろろをのせて、出汁(だし)をかけて食べる。これが一番うまいんだよ」想像しただけで、よだれが出そうだ。


 

「漁師」は屈強で無骨なイメージを持っていた。北の大地である北海道の大自然を耐え抜き、荒れ狂う海で生活をしているのであれば、尚更こんなイメージを持つのは普通であろう。そんな中、お会いした昆布漁師の浜田さんは予想を覆した印象を抱かせた。 「海の産物は神様からの贈り物だよ」と浜田さんはいう。昆布を育てる上での最大の難しさは、何と言っても自然を相手にしていることだろう。がごめ昆布は非常にデリケートな海藻で、海水温の影響を顕著に受けてしまう。浜田さんは、様々なデータに基づいて、収穫の時期や間引きの量を考え、がごめ昆布を大切に育てている。 「人の力ではどうにも出来ないことがある。でも、がごめは正直だから神様の言うことを守り、自分が出来ることをやってあげれば、がごめは応えてくれるよ」そういう浜田さんの顔は少し喜んでいるように見えた。

3月、大きく生長するための時期を冷たい海底でじっと待つ昆布の赤ちゃんの背丈は、僅かに30cm程度。「がごめ昆布の生長には凄いものがあって、命そのものを感じる昆布だ」と浜田さんは興奮気味に話してくれた。昔はその著しい成長度合いや利用価値の低さから海の雑草とまで言われ、忌み嫌われた昆布であるが、そのエネルギーには脱帽する。 4月、がごめの赤ちゃんは、冬から春への僅かな海水温の変化をキャッチし、一気に生長をはじめる。この時期のがごめ昆布の生長は著しく、一日に数cmも伸びることがあるという。生長期の4月から6月に掛けては、1週間で海の中の様子がまったく変わってくる。その劇的な変化が、長年見ていたものたちに只者ではない雰囲気や存在感を与えているのは間違いないであろう。

「やみくもに育つだけじゃなく、がごめ昆布は家族思いでね。一つの家族の中で助けあって生きているんだよ」がごめ昆布の繁殖範囲は半径4m程度。そこでがごめ昆布の一家が暮らしているのだ。 がごめ昆布は多年草であり、1年で生長するものや2年〜3年かけて生長するものがあるのだという。一般的な海藻は、その成長度合いも種類によってほぼ同じで、赤ちゃんから大人になるまでみんなで成長していくが、がごめ昆布は、1年生・2年生・3年生と色々ものがいる。 「同じ箇所で一度に生長してしまったら、海の養分も太陽の光も奪い合いになってしまうからね。だから、がごめ昆布は生長するスピードをずらして、みんな丈夫に育つように考えているのかもしれないね」  自慢のがごめ昆布を手に取り、笑顔で語る浜田さんを見ていると、浜田さんには本当に海の言葉が聞こえているのかも知れないと思った。

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